妊婦健診
妊婦健診は、⾚ちゃんと⺟体が順調であるかどうかを確認するために⾏うものです。
※予約制で⾏っております。
エコーの画像は、USBメモリでの記録が可能です。
USBメモリでの記録をご希望の⽅はUSBメモリを持参した上で妊婦健診の時に申し出てください。
(USBメモリはご⾃⾝で⽤意していただきます。)
USBメモリでの記録をご希望されない⽅は、携帯・スマートフォンで記録していただいてもかまいません。
ただし、30週を過ぎてきますと⾚ちゃんの周りのスペースがなくなってくるため、だんだん⾒えにくくなってきます。
当院への⾥帰り分娩ご希望の⽅は、紹介状は最終的に⾥帰りされた時でかまいませんので、20週〜30週ごろに紹介状なしでも⼀度受診していただければ胎児のスクリーニングをさせていただきます。
また、当院は多胎妊娠を取り扱っておりません。多胎妊娠の場合は他院へご紹介させていただいております。
健診の⽬安について
健診の⽬安について、妊娠期間に応じて異なります。
以下の健診⽬安をご参考にしてください。
・妊娠13週まで 1回/2週間
・妊娠24週まで 1回/4週間
・妊娠36週まで 1回/2週間
・妊娠40週まで 1回/1週間
・妊娠40週以降 2回/1週間
採⾎・検査について
妊娠周期 | 検査内容 |
---|---|
妊娠8-12週ごろ (初回妊婦健診時) |
B型肝炎・C型肝炎・梅毒・⾵疹・HIV・全⾎(貧⾎など)・⾎糖・⾎液型・不規則抗体・⼦宮頚がん検診。これらは全て補助券に含まれます。トキソプラズマ(⾃費) |
妊娠27週以降 | 全⾎(貧⾎など)・⾎糖・HTLV-1(成⼈T細胞⽩⾎病ウイルス)。 クラミジア:⾚ちゃんに肺炎や結膜炎を起こすことがあります。これらは全て補助券に含まれます。 四国中央市の⽅はHTLV-1は初期に⾏います。 |
妊娠31週ごろ | ⼼電図(⾃費)。⼿術予定の⽅は術前検査として保険で⾏います。 |
妊娠34週以降 | 全⾎(貧⾎など) GBS(B群溶連菌):分娩時に⾚ちゃんに悪影響を与える細菌。膣⼊⼝部と直腸より採取します。陽性の場合は分娩時に抗⽣剤を投与することにより⾚ちゃんへの感染を予防することができます。 |
妊娠40週以降 | 胎児⼼拍数モニタリング。胎児の状態によっては、40週以前でも⾏います。 |
分娩集中監視システム
当院の分娩集中監視システム(胎児⼼拍数モニタリング)について
当院では新病棟開設にあたりトーイツの分娩集中監視システムを導⼊しております。
各病室・外来のモニタリングルーム・分娩室でとっている胎児⼼拍・陣痛波形をリアルタイムでナースステーション・外来診察室・医局・医師・助産師・看護師の⾃宅・外出先・出張先のパソコン・タブレット・スマートフォン・携帯電話などあらゆる場所で異常がないかどうかを医師・助産師・看護師が監視することができます。
逆⼦(さかご)対策
通常、逆⼦の場合多くの施設で帝王切開が⾏われます。
当科では、できるだけ必要のない帝王切開を避けるため「鍼治療」を⾏っております。
当院神経内科の佐々⽊ ⽯雄医師は⽇本東洋医学会の認定専⾨医、指導医であり当科より紹介させていただきます。
以前は、お腹の外から胎児を回す外回転術も行っておりましたが、当院の成績では外回転術より鍼治療の⽅が効果が⾼いため、現在は行っておりません。
出⽣前診断
当科では患者さんが、「おなかの⾚ちゃんに異常がないことを確認して、不安なく妊娠⽣活を送るため」胎児の出⽣前診断に⼒を⼊れています。
出⽣前診断とは遺伝性疾患や⾼度の外表あるいは内臓奇形を持つ⾚ちゃんを⽣まれる前に診断することです。
当院では3D/4D超⾳波(Voluson E10 BT20)、血液検査、⽺⽔検査などを⽤いて出⽣前診断を行っております。もし⾚ちゃんに何らかの異常がある場合には、事前に細やかな診断がなされることで⾚ちゃんの治療専⾨医と⽣まれてからの対応策を練り、⾚ちゃんにとってより良いスタートを切らせてあげ、出⽣後の処置や対応に臨むことができます。
場合によっては、より専門的な治療のできる施設へ責任をもってご紹介させていただくこともあります。
また、出生前検査には大きく「染色体に関する検査」と「超音波検査」に分けられます。
「染色体に関する検査」は更に2種類に分けられ、それだけでは結果が確定しない「非確定的検査」とそれだけで結果が確定する「確定的検査」があります。
1. 妊娠初期組み合わせテスト(コンバインド検査)
妊娠12〜13週で⾏っている検査で21トリソミー(ダウン症候群)、18トリソミー、13トリソミーの確率を知ることができます。
21トリソミー、18トリソミー、13トリソミーは妊婦さんの年齢が上昇すると確率が上がります。30歳の出産ではおよそ1000人に1人、37歳ではおよそ200人に1人です(下図)。
超音波と母体血液を組み合わせて調べるため検査自体で流産することはありません。結果は確率で表されるため「非確定的検査」であり、確率が高い場合は「確定的検査」である羊水検査をする必要があります。当院では、血清マーカー、NT計測に加え鼻骨、静脈管血流、三尖弁逆流をマーカーとして使用しておりますので、21トリソミーについての検出率は90%以上です。
妊娠初期組み合わせテストをご希望される⽅は予定⽇が確定したらお知らせください。
費用は【税込22,000円】となります。結果は検査2〜3日で出ます。
また、他院にて妊婦健診中の⽅でも検査させていただいております。その際は、診察料・超⾳波料で【税込26,200円】となります。
※採⾎は⽕曜・⽔曜・⾦曜の午前中のみ(担当医:井下 秀司(FMF認定妊娠初期超音波資格医))
2. NIPT
NIPTは母体血漿中に存在する胎児DNAを測定することを目的とした遺伝学的検査ですが、NIPTでお腹の赤ちゃんの異常がすべてわかるわけではありません。NIPTによって調べることができるのは通常染色体数異常(21トリソミー・18トリソミー・13トリソミー)だけです。
母体血液で調べるため検査自体で流産することはありません。
21トリソミーについての検出率は99%ですので精度は高いですが、「非確定的検査」であるため、検査が陽性だった場合「確定的検査」である羊水検査をする必要があります。
費用は、保険が適用できないため自費で下記の通りになります。
1. 初回遺伝カウンセリング 30分につき【税込3,300円】
※カウンセリング後、検査を受けないと決められた場合でもカウンセリング料はかかります。
2. 検査+結果説明【税込159,780円】
NIPTの流れは下記の通りになります。
1. 初回遺伝カウンセリング:配偶者(あるいはパートナー)と一緒に受ける必要があります。
NIPT外来は、完全予約制です。外来もしくは電話で予約をお願いします。
2. 本検査を希望する場合、採血 ※採血は妊娠11週以降でカウンセリングとは別日(月〜金)で行います。本人のみで可。
3. 採血より約1~2週間後に検査結果説明を含めた遺伝カウンセリング:配偶者(あるいはパートナー)と一緒に受ける必要があります。
*担当医:井下 秀司・髙木 香律子(臨床遺伝専門医)
3. ⽺⽔検査
スクリーニングで異常が出た場合に診断を確定するための「確定的検査」です。
当院では⽺⽔検査は、16週後半以降で⾏っております。
当院ではQF-PCR法を用いて採取後3⽇程度で21トリソミー・18トリソミー・13トリソミー・性染⾊体異常の結果を知ることができます。その後、最終結果であるG-band(全ての染色体)は2週間程度で出ます。
事前に配偶者(あるいはパートナー)と一緒に説明を受けていただく必要があります。
費用は、通常セット(QF-PCR +G-band)で【税込104,760円】となります。
また、デジタル解析技術(D-karyo検査:追加検査)を⽤いて、通常ではわからない微細染⾊体異常も⾒つけることができるようになりました。
デジタルプラスセット(QF-PCR+G-band+D-karyo):【税込141,200円】
※もしQF-PCRで異常がでた場合は、D-karyo検査は中止となるため通常セットとの差額【税込36,440円】を返金いたします。ただしD-karyoで異常が出た場合はSNPmicroarrayの追加検査【税込196,000円:妊婦+配偶者(あるいはパートナー)+胎児の3人分での合計費用】を受けていただく必要があります。
*詳しくは担当医:井下 秀司・髙木 香律子(臨床遺伝専門医)にご確認ください。
4. 超音波検査
胎児形態評価として、妊娠12週前後・妊娠18〜20週頃・妊娠30週前後に行っています。
無痛分娩
当院は基本的には⾃然分娩を⾏っておりますが、硬膜外⿇酔を⽤いた無痛分娩も⾏っております。
⾃然陣痛発来後の無痛分娩、計画分娩による無痛分娩のいずれも⾏っております。
学会出張などでできない場合もありますが、基本的には24時間、365日対応しております。
県外、遠方からの妊婦さんも受け入れさせていただいております。
外来の健診の時に相談して下さい。
また、分娩時に新型コロナウイルスに感染している場合は無痛分娩ができませんのでご了承下さい。
硬膜外⿇酔を⽤いる無痛分娩の利点
- 他の痛み⽌めの⽅法より効果が確実です。
- 胎児への影響を認めません。
- 帝王切開が必要になったときにも術後の痛み⽌めに使⽤できます。
- 分娩後の回復が早く、体⼒が温存できます。
などが挙げられます。
無痛分娩の適応
- 痛みや⼦宮収縮による⼼臓への負担が望ましくない合併症(⾼⾎圧・⼼疾患など)をもつ場合。
- 分娩中に痛みで全⾝が強直したり、興奮状態となってしまう(痛みに弱い)場合。
- ⼦宮胎盤⾎流量が既に低下している場合(妊娠⾼⾎圧症候群・糖尿病・⼼疾患・胎盤機能不全など)
※硬膜外⿇酔により交感神経緊張が低下することで⼦宮胎盤⾎流が増加します。 - 分娩が⻑引きなかなか進まない場合。
- 本⼈や家族が希望される場合。
このような⽅に⾏っておりますが、特に上記以外にも陣痛がきてみたら痛いのでやってほしい、陣痛が⻑引いて我慢できないといった⽅には分娩進⾏の途中からでも無痛分娩を⾏っております。
鎮痛の⽅法
PCA(⾃⼰調節鎮痛法)ポンプを⽤いて、硬膜外⿇酔で⾏っております。
分娩までの時間が⽐較的短いことが予測され急速に鎮痛が必要な場合は、脊髄くも膜下⿇酔を⽤いることもあります。
費⽤
保険が適用できないため自費(税込 88,000 円)になります。
なお、分娩⽇・時間帯などによってはできないこともあります。
無痛分娩対応医師が学会出張などで県内にいない場合はできないことがあります。
無痛分娩には承諾書が必要になりますので無痛分娩を希望される⽅は、妊婦健診時にあらかじめその旨をお伝えください。
⾻盤ケア
当院では、産前・産後のゆるんだ⾻盤を正常な形に整えるために積極的に⾻盤ケアを取り⼊れています。
妊娠中
・マザークラス(後期)で、⾻盤ケアがなぜ必要かについて
妊娠すると、ホルモンの影響で⾻盤周囲の靭帯がゆるむのが普通ですが、靭帯や筋⼒が弱い⽅や経産婦さんは、⾻盤がゆるみすぎて様々な不快症状や影響が出ることがあります。
例えば、腰痛や恥⾻痛・ソケイ部の痛み・尿もれ、切迫早産の兆候(⼦宮頚管が短くなる)などは、⾻盤のゆるみが原因であることが多いので、トコちゃんベルト(⻘葉社製)を⾻盤⾼位で締めることで症状が改善し、快適なマタニティーライフが送れるようになります。
研修を受けたスタッフが、それぞれの⽅にあった体操やベルトをお勧めしています。
ご希望の⽅は、産婦⼈科外来にお問い合わせください。
※現在マザークラスは行っておりません。
出産後
出産時にゆるんだ⾻盤がゆがまないように、分娩台の上で⾻盤固定いたします。
また、この⾻盤ケアは、出産後の⼤量出⾎(弛緩出⾎)を防ぐ意味もあります。
⼊院中は、それぞれの⽅にあった⾻盤ケアを続けていきます。
出産後のウエストニッパーは、⾻盤上部を締めることになり、⾻盤が裾広がりになります。
また、お腹を締めつけると、脂肪や内臓が⾻盤内に⼊り込み、ゆるんだ⾻盤をさらに広げてしまいます。
これは、将来尿もれ、痔、⼦宮脱、腰痛などをおこす危険性があります。
お腹の脂肪分は、とけておっぱいの成分になり、⾚ちゃんの栄養になっていきますので、締めつけなくても⾃然になくなります。
産後2ヶ月は⾻盤固定をしっかりとしましょう。
そしておっぱいで育てましょう。
産後のスタイル回復に効果的です。